工藤悠一郎さん(昭和40年卒)のエッセイ

 

富山演奏会

 

 富山の名家出身で殊のほか故郷富山への郷土愛の強いK君と結婚を境に生まれ故郷の水戸を忘れたかの如く奥さんの故郷の富山に熱心に溶け込んでいるN君の熱意で倶楽部グリーの富山演奏会は実現できた。(20161126日)

 

 

 富山へは学生時代に演奏旅行で行ったきりなので50数年ぶりの訪問である。遠いというイメージが残っていた富山であったが新幹線に乗れば2時間くらいで着いてしまう。東京からまことに近い存在になったのである。

 

アイザック小杉文化ホールという収容人員800名ほどの立派な会場で行われた。富山駅から在来線で二駅乗りそこからバスに乗るという会場であったが、聴きに来られる方々は何の問題もないようである。広大な駐車場が完備されていて多くのみなさん車で来るようである。

 

「よみがえる青春!」と銘打った地元の合唱団TMS(富山マドリガル・シンガーズ)とのジョイントコンサートであったが、立ち見がでるのではと心配されたくらいにチケットの売れ行きがよかったそうで、天気にも恵まれ大盛況であった。

 

第一ステージは「青春対決」でわれわれ倶楽部グリー、TMSと中学生で結成した公募青春合唱団のそれぞれのステージ、第二ステージは「今も若い私たち」でTMSが、第三ステージは「今も若い俺たち」で倶楽部グリーが歌うという盛り沢山で楽しい演奏会であった。

 

 TMSは8月に軽井沢で開催された国際合唱フェスティバルで第2位に輝くなど立派な合唱団で優れた指導者のもとで活躍されており、県内外との合唱団との交流や演奏会を行っているという実力派の合唱団である。

 

 最後に会場のお客さんと一緒に全員で「花は咲く」を歌い富山演奏会は成功裡のうちにお開きとなった。われわれは中学生からいただいた花を持って客席に下りて一緒に歌い、最後にその花をお客さんに差し上げるという会場全体が一体になる演出でまことにすがすがしい感じであった。お客さんからも直接お褒めの言葉をいただき、富山に来た甲斐があったとあらためて感じた次第であった。

 

 夜はわれわれの宿である「いこいの村 磯波風」でTMSとの懇親会が行われた。TMSの方々は車の方が多かったので殆んどの方がアルコールは飲めなかったのが気の毒であったが、われわれは富山の銘酒を十分に堪能させていただいた。テーブルには冬の富山の海の幸である「紅ズワイガニ」や前の日から獲れるようになったという「氷見の寒ブリ」までが出てくるという豪勢な料理であった。合唱団同志の懇親会なので時間の経過とともに歌の競演となった。女声合唱団でアカペラで暗譜で歌える曲をあれだけ持っている合唱団にはお目にかかったことがなかった。TMS合唱団の素晴らしさを再認識した。

 

 翌日は観光である。閑乗寺から砺波平野に広がる散居村の景観を見てから、井波彫刻会館、瑞泉寺を見学。そして五箇村の合掌造りの村上家で民謡を鑑賞、拾遍舎で美味しい蕎麦を食べ、菅沼の合掌集落を見学してから市内に戻ってきた。K君の本家で現在は富山市に寄贈されている「薬種商の館 金岡邸」の丁寧な説明を聞いて観光は終了。

 

その後、当日開催された富山稲門会総会の会場である第一ホテルに行って校歌と応援歌を歌った。稲門会は東京から早稲田の総長や富山県知事がかけつけるなど盛大な会であった。

 

 こうして二日間の日程は無事に終了して新幹線で帰京した。年寄には贅沢すぎる二段重の豪華な夕食を肴に、昨晩飲みきれなかった差し入れの酒を気持ちよく飲んでいるうちにあっという間に東京に到着してしまった。

 

 初冬の富山路を満喫した充実の二日間でした。

 金岡君、中嶋君 ありがとう!

                             201612

 

 

 

All Rights for the images reserved to mugley photostream from flickr, if you keep them,please keep the credit.